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相続問題と弁護士

相続にも時効があります

 
 ある人が死亡したとき、死亡した人の財産を配偶者や子どもなどの親族が引き継ぐことを相続と言います。平成27年4月に相続税に関する法律が改正され、今まで約1億円以上の財産を持っていた場合に発生していた相続税が、約5000万円以上の財産まで引き下げられたことで話題になりました。

 ところで、相続が発生した場合、死亡届の提出から相続税の申告まで、一連の手続きをスムーズに行っていかなければなりません。もたもたしていると、時効、つまり相続できなくなってしまう可能性もあるので注意が必要です。遺産相続の時効にはいくつかの種類があります。

 一つ目は、相続放棄の事項です。相続放棄とは借金などマイナスの遺産の場合によく行われることですが、プラスの遺産もマイナスの財産も一切を引き継がないことを言い、3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。これを忘れると借金を全部返済しなければならなくなります。

 二つ目は、遺言によって一切遺産を受けることができなくなっている場合に請求できる遺留分減殺請求の時効です。相続人には、法律によって最低限の遺産を得ることができる権利を持っているのですが、1年以内にその手続きを行わないと、すべて遺言の通りになってしまいます。

 三つ目は、相続人ではない人が遺産を相続してしまった場合に、その遺産を取り返すための相続回復請求権の時効です。こちらは時効まで、自分の相続権が侵害されていることを知った時から5年間か、あるいは相続開始から20年までとなっています。

株って相続できるもの?

 結論から言ってしまえば、株を相続する事は出来ます。しかしその際には必ず、株の名義変更が必要となります。また、その株券が「上場株式」か「非上場株式」かによって、手続き内容や必要書類などが違ってきます。まず「上場株式」の場合ですが、被相続人(亡くなった人)が口座を所有していた証券会社に、被相続人が亡くなった旨の連絡をします。するとその証券会社より「名義変更依頼書(相続依頼書)」が送られて来ますので、それらの書類に被相続人の戸籍謄本・相続人全員分の戸籍謄本・遺産分割協議書・相続人全員の印鑑証明を加えて提出します。それが証券会社に受理されれば、晴れて名義変更完了・相続となります。

 これが「非上場株式」の場合は手続きが全く異なり、法的な手続きはほとんど必要ありません。非上場株式には証券会社は一切関わりがありませんので、遺族間などの話し合いをもって相続人を決定し、被相続人の株式名簿を相続人の名義に書き換えるだけです。

 しかし法的手続きが不要とはいえ、株式名簿は税務署に提出しなければならないものですので、被相続人が亡くなった際に所有者が無いまま宙ぶらりんになると、相続税などの税金を納める際に問題が発生してしまいます。自分の親族が亡くなった後で、すぐにお金の話をするのは気が重いかもしれませんが、後々問題が起こらないために、また、相続をスムーズに行うためにも、きっちりと協議を完了させておく事をお勧めします。

相続放棄すると遺族年金ってもらえなくなるもの?

 遺族年金は残された家族にとって貴重な収入となるものですが、相続放棄しても受け取ることが出来るのでしょうか。相続放棄は、被相続人が持っていた貯金などの財産を受け継がないという手続きをするものです。このことを考える時遺族年金とはなにかということを改めて確認すると、遺族年金と呼ばれるものにはいくつか種類がありますが、主に遺族基礎年金と遺族厚生年金に代表されます。

 被相続人が支払いをしていた場合、被相続人が養っていた配偶者やその子供が受け取ることが出来るものです。ただ遺族基礎年金の場合には配偶者は子供がいるばあいのみ受給できるのですが、遺族厚生年金は子供が居なくても受給できます。では、別居している場合には、遺族年金を受け取る資格があるのか、ということですが、単身赴任や病気の療養など、やむを得ない事情があるときには、たとえ同じ家に住んでいなくても生計は一つであるとみなされるので遺族年金を受け取ることが出来ます。

 問題は遺族年金が相続財産に当てはまるのかということですが、遺族年金の受給資格は相続人であるかどうか、ではなく被相続人が養っていた配偶者(遺族既存年金の場合には子供がいることが条件)と子供というわけなので、年金を受け取る権利とは独立しており、たとえ相続放棄をしていても受け取ることが出来ます。遺産を先にもらうと相続放棄が出来ないという決まりから、遺族年金の受給を後回しにしているケースがありますが、そのような気遣いは全く必要ないのです。相続放棄のことで何か心配なことは相続放棄弁護士に相談すると良いと思います。